リモートワークではフレイミング(flaming)に気をつけよう:一分間離席の勧め
温故知新というブログに相応しく漢文からのタイトルです。
IT 関連企業ではリモートワークを推進するところも少なくないでしょう。
リモートワークで最も気をつけなくてはいけない事の一つがフレイミング(flaming =罵り合い)です。
インターネットが始まったばかりの頃からメールのやり取りや、メーリングリストなどでフレイミングがしばしば発生し、本来の仕事や学業の妨げになっていました。
顔が見えないからこそ、何でもアリになってしまうのかも知れません。私自身も大学院生時代にちょっとした事でフレイミング状態になった事がありました。
私が大学院の頃にはまだ今ほどインターネットは一般的ではなく、アカデミック系のごく一部の人たちが使うだけでした。まだネチケットなる言葉が有効でしたし、インターネットへの書き込みは世界中への書き込みと同じだという共通認識がありました。
そんな「頭の良い」人たちの間でもフレイミング問題は発生していたので、現代において発生しないわけがないだろうと思っています。
そんな中でプロジェクトマネージャー、リーダーはフレイミングの発生に目を光らせなくてはいけません。どう気をつけるのか、具体策は何かについてまとめました。
気をつけるべき点
- 自分自身がフレイミングの発生源にならない
当たり前ののことですが、できてない人、周りにいませんか?
できない原因は部下を非難することです。頼んだことをやってくれない、仕事が遅い、本当にちゃんと作業しているのか分からない、等々、非難すべき原因は部下にあるというケースがほとんどかも知れません。
それでも「もしかしたら自分の指示の出し方が悪かったかも知れない」という姿勢を前面に押し出さないとダメです。非難すると相手は対面の時以上に反発心を感じる可能性が高いと思わなくてはいけません。
とにかく相手を立てる、これができないとしたらリーダーとしての人格力不足を疑った方が良いですね。
2) 自分の仕事はプロジェクトを前進させることだという意識を強く持つこと
プロジェクトを前に進めるのに一番大切なことは、みんなに気持ちよく働いてもらうことです。配下の人たちはみんな大人です。マネージャーやリーダーは先生ではないのです。相手が間違っていたとして、その事をあげつらって「矯正」する必要などないのです。
「こうやれば良いんだよ」という正しいやり方を教えれば済むのであって、間違った人を「正す」必要はないどころか、してはいけないことです。
大人相手に「あんたは間違っている」と言って「ご指導、ありがとうございます」なんて言ってもらえると期待する方が「間違い」です。そんなことのためにお互い不快になるリスクを冒す必要はありません。
相手を尊重して正しいやり方を教えていけば、自然に相手の「間違い」も姿を消していくものです。途中で大抵相手の方も自分の「間違いに気付いて」くれますからね。段々気をつけるようになってくれます。
3) もしかしたら本当に自分が間違っているかも知れないという事を忘れない。
相手が変なことを言っている、どう考えても間違っているように見える、そんな場合でも一歩下がって「実は自分の方が勘違いしているかも知れない」と客観的に自分自身を見られる事が大切ですね。
私自身、一応、博士の学位を頂きましたが、それは「自分が分かっていないことが分かる」という前提ができたと言うことだと思っています。自分より凄い人たちもやはり「分からない」事が分かって「分かりたい」から一生懸命になって「凄い人」になったようです。
4) 具体策:返信前に必ず一呼吸おく
上に書いたような事はアタマで分かっていても実践できなければ何の意味もありません。具体策はありきたりですが「返信前に一呼吸おく」ことです。
折角リモートワークですから、一二分離席しても誰もとがめません。妙な雰囲気になりそうだったらその瞬間に離席しましょう。
5) 配下の人たち同士の人間関係にも気をつける
どうしても合う人、合わない人があります。あまり神経質になっても完全に掌握するなど無理ですから、風通しの良い、気持ちよく働けるような雰囲気作りに気を配るくらいのことしかできないでしょう。
フレイミングについて自分自身の失敗談など話して「お互い気をつけよう」と注意喚起することは大切でしょうね。
まとめ
とにかく一度フレイミングが発生するとチームとしての生産性はガタ落ちすると思った方が良いでしょう。特にリーダーが部下相手に「メール爆弾」をやってしまうと、相手は面従腹背状態になりかねません。
わざとバグを仕込むかも知れませんよ。テストでも失敗しているのにわざと見過ごすかも。ほとんど別のことをやって時間を潰したりするかも知れません。リモートワークでは相手が今何をやっているのか完全に把握するのは不可能です。
マネージャー、リーダーはプロジェクトを前進させることが自分の役割だという意識を持って、いつも以上に相手を立てて気持ちよく働いてもらうことに心を砕かねばなりません。
開発の仕事は理性(マインド)を使いますが、その原動力は心(ハート)から来るものです。「士は己を知る者のために死す」を現代風に訳すなら「自分を高く評価してくれる人のためになら一生懸命働きたい」でしょう。逆もまた真なりで「自分をけなすような人のために何で私が一所懸命働く必要があるの?」でしょうね。
みんなに喜んで働いてもらうことに喜びを見いだせるようになることがリモートワーク時代のリーダーシップかも知れませんね。