Flutter 非同期処理ガイド – 6パターン完全比較 (GetXベース)
はじめに
Flutterの状態管理にGetXがあり、それはリアクティブプログラミングを採用していて、非同期処理の細かな制御が可能だと述べた。
非同期処理には概ね6パターンがあり、場合によって使い分けることで期待通りの動作をさせられる。
本ドキュメントでは、Flutterアプリケーションにおける非同期処理の6つの代表的パターンと、GetXやRiverpodを利用した際の適用方法、特にSQLiteなどローカルデータベースとの連携に関するベストプラクティスを解説する。
非同期処理の6パターン
パターン | 特徴 | 使用タイミング | 備考 |
---|---|---|---|
1. async/await チェイン | 最も直感的な順次実行 | 単純な順序制御 | await を付け忘れに注意 |
2. Future.then() チェイン | 明示的なPromise的処理 | 多段非同期処理で明示したいとき | 可読性がやや低い |
3. Future.forEach / for-loop await | 明示的な逐次処理 | リストを順番に処理したいとき | 配列などの逐次処理に強い |
4. Future.doWhile() | 条件付き繰り返し | 状態に応じて再試行する処理など | 複雑な条件分岐に注意 |
5. Isolate.spawn() | 重い処理の分離 | DB/画像/暗号化等の重負荷処理 | 通信処理とは使い分けを推奨 |
6. Queue / StreamQueue | 順序制御の強化 | 複数タスクの直列実行 | 状態変化の監視にも強い |
SQLite を含む場合のベストプラクティス
基本戦略
- GetxController を用いて状態管理を一元化
- 非同期処理と状態の更新を一つの場所にまとめる
-
Rx 変数で状態を監視し、UIと同期させる
サンプル構成
class DataController extends GetxController {
final dataStatus = Rx\<LoadStatus>(LoadStatus.idle);
Future\<void> loadAndSyncData() async {
dataStatus.value = LoadStatus.loading;
try {
final remoteJson = await fetchFromAPI();
final localDb = await loadFromSQLite();
final updated = compareJsonWithDb(remoteJson, localDb);
if (updated.isNotEmpty) {
await saveToSQLite(updated);
}
dataStatus.value = LoadStatus.success;
} catch (e) {
dataStatus.value = LoadStatus.error;
}
}
}
パターンごとの SQLite 適用可否
パターン | SQLite向きか | 備考 |
async/await | ◎ | 単純な読み書き処理に最適 |
then() チェイン | ◯ | 複雑な非同期処理にも柔軟 |
for-await / forEach | ◎ | データの逐次更新処理に強い |
doWhile | △ | 条件分岐が複雑化しやすい |
Isolate | ◯ | DB移行・一括変換などに有効 |
Queue | ◎ | イベント駆動、変更検知に強い |
実装の観点でのまとめ
-
GetXのRx型を用いた明示的な状態管理は、可視性と安全性が高い
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RiverpodのAsyncValueは、状態管理の再現性を高めるが導入に学習コストが必要
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SQLiteと連携する場合は、状態変化の契機を明示できる構成が望ましい
議論のためのチェックポイント
-
GetX Controller に処理を集中させることで責務を明確にする
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複雑な状態遷移がある場合は Queue や StreamQueue を導入
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Isolate は CPU負荷が高い処理に限定
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起動処理でどのパターンが適しているか、アプリの規模・更新頻度に応じて判断
参考
このドキュメントは、GitHubリポジトリ flutter_async_exec_patterns
と連携しています。
より詳細なコード例や、GetX/Riverpodによる実装比較は GitHub の examples/
および docs/
ディレクトリに掲載する予定。