諸般の事情により、iOS, Androidの開発においてFlutterを採用するプロジェクトが増えているようだ。様々な入門ドキュメントが公開されているが、本格的な実用アプリ開発で必要な知識まで踏み込んだものは少ない。
開発に限らず、どんな分野でも基本が大事だが、Flutterにおける重要な基本概念であるWidget Treeについて、Flutterプロジェクトを始める開発者向けに詳細に説明する。まずこれを念頭に置いて開発を進めるのが近道である。
- Widgetsの理解:
- 基本概念:Flutterにおいて、すべてはWidgetである。Widgetは、ボタンやメニューのような構造的要素、フォントやカラースキームのようなスタイリスティック要素、パディングやアライメントのようなレイアウト要素、ジェスチャーやアニメーションのようなインタラクション要素である。
- Widgetsの種類:Flutterには主に2種類のWidgetが存在する:
- Stateless Widgets:これらは不変で、プロパティは変更できない。すべての値がfinalである。
- Stateful Widgets:これらは、Widgetの寿命中に変更される可能性のある状態を保持する。
- Widget Treeの構造:
- 構造:FlutterのWidget treeは、Widgetsの階層的な組織である。すべてのFlutterアプリはルートWidgetから始まり、その子へと分岐していく。
- UIの構築:UIはこれらのWidgetsを互いに合成し、ネストすることで構築される。この階層構造は木に似ており、各Widgetが子を持つノードとして機能する。
- Widget Treeの構築:
- ルートWidget:通常、木の根は
MaterialApp
またはCupertinoApp
Widgetで、アプリケーションの舞台を設定する。 - ネストされたWidgets:ルート内には、マテリアルデザイン用の
Scaffold
Widgetがあり、それにはヘッダー用のAppBar
やメインコンテンツ用のBody
が含まれることがある。 - 合成重視:Flutterは、より単純なものを組み合わせて複雑なWidgetを構築する合成を強調している。
- ルートWidget:通常、木の根は
- レンダリングプロセス:
- Element Tree:Widget treeは概念的なものである。FlutterがUIをレンダリングするとき、より具体的な表現であるelement treeを作成する。
- Render Tree:最終的に、element treeは画面上でUIをペイントするために使用されるrender treeに変換される。
- 状態管理:
- 再描画メカニズム:Stateful Widgetの状態が変更されると、FlutterはWidgetのtreeの新しいインスタンスを作成してUIを再構築する。
- 効率性:Flutterはこのプロセスで効率的であり、更新が必要なWidgetのみを再構築し、全treeを再構築することはない。
- ベストプラクティス:
- WidgetsをStatelessに保つ:状態を維持する必要がない限り、簡単さのためにstateless widgetsを使用することが推奨される。
- Widgetの分解:複雑なUIに対しては、Widgetをより小さく、再利用可能なコンポーネントに分解することが望ましい。
- Contextの理解:tree内の各Widgetには、tree内の位置や先祖からのデータへのアクセスを含むcontextが存在する。
-
結論:
FlutterのWidget treeは、構造化された、効率的で、管理可能な方法で複雑なUIを構築するための強力なコンセプトである。このtree内でWidgetを効果的に合成し、管理する方法を理解することは、Flutter開発をマスターする鍵である。